Hiraku’s diary

特にコンセプトはございません。ご笑覧ください。

理不尽

今日は理不尽の意味を紹介したい。

理不尽とは、物事の筋道が通らないこと。おそらく皆さんにもあると思うが、全く価値のない理不尽な経験を僕は何度かしたことがある。その話をさせてもらいたいと思う。今日は少し刺々しい表現が多いかも知れないが、ワークライフバランスの崩れによるものである。是非とも察して欲しい。

 

その日は快晴だった。当時付き合っていた人とドライブに出かけようという話になった。文系大学生はやたらとドライブに行く。高校生がミスタードーナツに行くのとほぼ同じ頻度だと思う。

 

目的地は小洒落たカフェ。こじんまりとした店内に小さな豆電球があしらわれ一瞬エジソンの研究室と錯覚してしまった。記念にと思わず豆電球をひとつ持って帰っていいですか、と聞こうとすると彼女に止められた。出る杭は打たれることを身をもって感じた瞬間だった。彼女は確かエビのパスタを頼んだ。僕は、牛ネギ玉丼のつゆだくの大盛りにしようかな、というと吉野家じゃねえんだよ、と突っ込まれた。僕と付き合った彼女は付き合いが長ければ長いほどツッコミが上手くなる。だから、ツッコミが上手くなりたいなら僕と付き合えばいいと思う。

 

基本的に、僕はカフェではエスプレッソとスイーツを頼む。その店にはエスプレッソがなかったので、断腸の思いでアイスコーヒーを頼んだ。ミルクとシュガーを見ることさえせず、一口、口に含んだ。舌の上で転がすと独特の酸味が広がり、正直吐き気がした。こんなに不味いコーヒーを淹れることができる店員はきっと、靴のかかとを買ってすぐに踏むタイプの人間で、犬の撫で方も下手くそで犬から嫌な顔をされ、寿司を食うときに醤油をシャリにまでつける味音痴なんだろうなと拝察した。

 

そして極め付けはチーズケーキだ。僕はしっとりしたものも、ふんわりしたものもどちらも個性と認識し総じてチーズケーキを愛することができる、いわばチーズケーキお化けである。しかしその店のチーズケーキはやたらと固くて、え、セメント?というコメントを添えんと食えんと許せんと思った。

 

そんなお洒落な生ゴミへとミスリードしてしまう店でも、会計は存在する。確か2人で1500円くらいだったと思う。カフェにしては安い方だ。そこで私は彼女にこう提案した。今日は野菜食べ放題の店に行きたいと言っていたあなたの思いを踏みにじって、エビがほぼ入ってないむしろ、ほうれん草パスタとも言えるパスタを食べさせてしまって今日のあなたの野菜への思いを不完全燃焼させてしまった罪を償う意味で、奢らせてほしい。

すると彼女はこう言った。いつもあなたは意味不明な理由をこじつけて奢ろうとする。それは優しさではなくて私を見下しているようにしか思えない。今日は私が払う。

 

押し問答が続き、結局ジャンケンで負けた方が払うことにしようという結論に至った。結果、私が勝った。よし、ならありがとう、よろしくね。そう言って私は彼女に伝票を渡した。すると彼女は急に私を睨みつけた。そして、ジャンケンに負けたことが悔しい。こういうとき必ず勝てる女のはずなのに。と謎のジャンケンジンクスを早口で述べた。僕がきょとんとしていると、彼女は伝票を私に押しつけ、そそくさと店を出て行った。僕は会計を済ませ、その店を急いで出ると、彼女の姿はなかった。

理不尽極まりない事は世の中にごまんと存在する。多くは成長につながることが多い。しかし私のこのような理不尽なことを平気でやってしまう人間はどうか、私がその時行った生ゴミ系カフェで生ゴミを食って会計を押し付けられて欲しいと、切に願う。