Hiraku’s diary

特にコンセプトはございません。ご笑覧ください。

キャンプをキャン

タイトル通り、キャンプをキャンセルした男の罪について話したいと思う。

その男はoxoと自称している。オクソ、と読む。僕はoxoとは大学で同じ学部学科だった。

彼は生まれた時から田舎で暮らし、田舎をこよなく愛す優しい男である。家の近くでイノシシをしばしば見たことがあるため、イノシシの悪口を言っているとすぐに割り込んで止めにくる。変わった男である。

彼は高校の時に学年で抜群の成績を収め、大学への推薦をもらった。そして面接で声高に、教員になりたいと唱えたのである。

教員の担い手が減っているこの現代でそのような考えを持つこと自体賞賛されるべきことだと思う。彼のその姿は瞬く間に教授の心を掴み、見事合格をした。

しかし彼は大学に入り、全てが変わってしまった。

ストレートで短髪の、まるでデビューしたての相葉雅紀のような髪型は金髪パーマへと変貌し、着ていた服はしまむらからベイブルックの服へと変わり、何より将来の夢がアパレル系になった。大学との口約束を見事に覆したのである。

そんな彼ではあったが、人懐っこい性格やその持ち前の優しさでみんなから愛されていた。また、彼の魅力的なところは素直なところである。イギリス文学の授業の後は必ずポエムのようなことを言うし、グレープフルーツ美味しい!と言い出したと思ったら毎日のようにコンビニでグレープフルーツのジュースを飲んでいた。そんな彼を憎めるわけがないと、僕も確信していた。

今年の8月のことである。東京のうつ病ダンサーが熊本へ帰ってきた。彼とoxoと僕の3人でキャンプを行おうという約束をした。場所は御立岬。綺麗な海と新鮮なお肉を堪能しようという計画だった。八代よりさらに南に下り海沿いを走ると見えるその砂浜は、いつ来ても心踊る光景である。

その前日に、oxoはキャンプをキャンセルした。理由はよくわからないことを言っていたのでおそらく女だろう、とダンサーと話した。

さすがに2人もキャンセルというわけにはいかなかったので、急遽2人キャンプになった。サシキャンプである。2人になり急にやる気が無くなった僕たちは、肉を買うことも面倒になり焼肉屋さんに入って2時間食べ放題コースを注文し、夜中の3時くらいまで猫を追いかけるという破茶滅茶でゴールを失った宿泊をした。

僕たちは、oxoを恨んだ。彼がドタキャンさえしなければ、僕たちは楽しくキャンプができたのかもしれない。

それ以来、oxoを遊びに誘うことは無くなった。