Hiraku’s diary

特にコンセプトはございません。ご笑覧ください。

誕生日

何事にもプロセスはある。

今日は親友が誕生日なので僕が高校生の時に失敗した例を紹介する。人の不幸を喜ぶ人が多いことを知っているから、あえて失敗した例を取り上げるのである。

それは冬であった。ちょうど、今くらいの時期だったと記憶している。当時生物基礎を履修していた僕であるが、生物に関してどうしても興味が湧かなかった。担当の先生は中肉中背の女性で、結婚が目前であることを明かしていた。その先生の笑顔はなんとも幸せなオーラを纏っており、正直生物教えるよりも家庭科を勉強してぇ、というような顔つきだった。非常に微笑ましく、同時に無責任な先生だった。その先生のもとで学ぶ生物は当時の僕にとってはあまりにも生々しく、聞くに耐えられないものだった。

そんな中、期末考査が近づいてきた。僕は赤点を取るキャラではなかったものの、生物に関してはいつもギリギリで生きていた。今回もどうしたものかと家で莫大な量のテスト範囲を眺め呆然としていた時、一通のラインが入った。

「ひらっくん、明日放課後生物教えよか?」

それは、いつも体育館で隣で部活をしていたある女の子からのLINEだった。途端に僕のミトコンドリアが暴れ出した。これは、何かあるかもしれない。そんな淡い期待をよぎる一通のテキストに、見事に頭を支配された。

翌日、意味もなく2回歯を磨いて登校し、学校でも3回ほど歯を磨いた。そして放課後、その子のクラスへと向かった。その子は黒板に何かを書きながらこちらを振り返った。僕は持ってきた教科書を落としそうになる程緊張したが、まるでホンダのアシモのようにカクカクと教室に入り、適当に椅子に座った。

その子は、本当に丁寧に教えてくれた。色ペンも3本ほど使って染色体の話やリボソームの話などを詳しく教えてくれた。僕は初めて、生物という科目に感謝した。もう、その子の解説を僕のすべての細胞が待望していた。

テストが終わり、見事平均点を叩き出した僕はその子に、部活終わったら一緒に帰らないか、と尋ねた。ここまで献身的に生物を教えるなんて僕のことが気になっているに違いない、そう確信していた。その子は、いいよ、裏門で待ってる、と返してくれた。裏門、というのがリアルでまたもや僕のメッセンジャーRNAが天に召されかけていた。

書くのが面倒になってきたので結論だけ書く。その子に帰り道に告白をしたら、腰が痛いから無理。という謎の振られ方をした。

それ以来、僕が女性に声をかける時には、腰が痛くないかを聞く傾向にある。